内視鏡検査は消化管(食道・胃・大腸)の癌の診断において最も有用な検査です。
消化管の癌は2cm以下であれば例外的な場合を除き、転移のない粘膜内癌であり、内視鏡的に治すことが可能です。
しかし、一般に行われている内視鏡検査は苦痛を伴う場合が多く、患者様の検査を受けようとする気持ちを減退させます。
このため内視鏡治療可能な早期癌の発見を遅らせることになります。
当院では、苦痛の少ない楽な経鼻内視鏡検査(写真B)や麻酔下の内視鏡検査を行うことを推奨しております。
高性能ハイビジョン内視鏡は従来の内視鏡より画質が優れており正確な診断が可能です。
さらに高性能ハイビジョン内視鏡には病変を拡大し質的な診断が有用な特殊光(NBI、自家蛍光内視鏡)を用いた診断機能を有しています。
高性能ハイビジョン内視鏡検査は精密検査ですので麻酔下の検査をおすすめします。
高性能3D-CTは通常のCT検査画像に加え、臓器の3次元構造、血管造影、透視などの画像が得られる優れたCTで、迅速かつ高度な診断が可能です。
当院は、大規模医療施設にはない機動性のある病院を目指しています。
大規模医療施設で1~2週間かかる検査が、当院では1~2日で可能です。
また、当院では、専門医により内視鏡治療が行われており、大腸ポリープは1泊2日~2泊3日の入院で治療が可能です。
お仕事で多忙な方や診断を急がれる方のニーズに対応できると考えます。
阿座上 聖史
検査でがんやポリープなどが発見され、内視鏡による治療が可能と判断された場合は、内視鏡的ポリープ切除術と呼ばれる方法で治療を行うことができます。
内視鏡検査でポリープが発見された場合、そのポリープが将来癌化する可能性があるか否かの診断が行われます。
ポリープは大きく分けて、がんとは関係ない過形成性ポリープと、主にがんの芽といわれる腺腫性ポリープに分かれます。
癌化する可能性がある腺腫性ポリープはポリープ切除の対象となります。
また、腺腫性ポリープでなくても徐々に大きくなれば、出血を起したりなかには癌が潜んでいることもある為、切除する事が望ましくなります。
以前までは外科的な手術が必要でしたが、現在では内視鏡を用いてのポリープ切除が可能となりました。
【ポリペクトミーの手法】
①ループ状の電気メスを開きポリープにかぶせます。
②取り残しのないことを確認しながらさらに縮めて、ポリープの全辺縁を絞厄していきます。
③電気メスをしっかり絞厄し、ポリープをスネアで軽く持ち上げて通電を行い切除となります。 痛みは感じません
④ポリープ切除完了です。 この後、切除後を観察し、問題がなければ終了となります。
このように、このように細心の注意を払いながらポリープの切除を行っています。
内視鏡を用いた病変の切除には、この方法のほか生食水を粘膜下層に打ち込むEMRや、大きな病変を切除することができるESDなどがあり、症例によって手技を使い分けています。
【EMRの手法】
①病変の存在を内視鏡下に確認しインジゴカルミン(食道ではルゴール)を散布して、病変の形状・性状や正常粘膜との境界がどこまで及んでいるのかなどを観察します。
②病変の下層へ局注用の針を刺します。
③病変と筋層の間の粘膜下層へ生理食塩水を注入し病変を持ち上げます。
④ループ状の電気メスをポリープにかぶせていきます。
⑤電気メスを徐々に縮めて、取り残しのないように電気メスを縮め絞厄する。
⑥火傷を最小限に抑えるため電気メスをしっかり絞厄し、ポリープをスネアで軽く持ち上げて通電を行い切除となります。 痛みは感じません。
⑦ポリープ切除完了です。 この後、取り残しはないか、出血はないか、切除の深さはどの程度かなどを観察し、問題がなければ終了となります。
消化管出血を内視鏡で止血することにより、大量出血の場合は出血によるショックを防ぎ、救命を行うことができます。
また、緊急手術を避け、身体的負担を軽くし入院期間を短くしすることによって社会復帰も早くなります。
軽症の出血であっても早期に止血し,再出血の危険を少なくできます。
また、出血していない場合でも今後出血の予想される露出血管がある場合は予防的に行う場合もあります。
1.局注法 | 2.熱凝固法 | 3.機械法 | 4.薬剤散布法 |
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1)高張Naエビネフリン(HSE)法 | 1)レーザー法(Nd-YAG,Diode) | 1)クリップ法 | 1)トロンビン |
2)純エタノール法 | 2)高周波法 | 2)バルーン法 | 2)スクラルフェート |
3)エトキシスクレロール法 | 3)ヒータープロープ法 | 3)結紫法(留置スネア、EVLなど) | 3)フィプリン糊 |
4)シアノアクリレート | 4)マイクロ波法 | 4)アルギン酸ナトリウム | |
5)フィプリン接着剤 | 5)ArgonPlasmaCoagulation(APC) |
各止血法にはそれぞれ長所短所があり、これらをよく把握したうえで、内視鏡所見を考慮して適切な止血法を単独ないし併用して選択しています。
当院でももちろん出血の状態や原因で止血法は選択していますが、その中でも最も使用頻度の高い、機械法であるクリップ法の手技について簡単に説明します。
小型クリップにより、露出血管そのものを周囲粘膜とともに捕捉・結紮することで止血する機械的圧迫把持の方法です。
組織侵襲が極めて少なく止血効果が確実です。
止血治療後は絶飲食、絶対安静、止血剤や胃酸を抑える薬の経口投与、もしくは経静脈的(点滴)投与などが行われます。
再出血があれば緊急内視鏡検査をただちに行います。
また再出血がなくても、止血処置後数時間後~後日再度内視鏡検査を行い、露出血管の有無を確認します。
食事の開始は露出血管の消失を確認した時点で流動食から経口摂取を開始となります。
医師のアドバイスに従い、食事、力仕事、遠出、アルコール、入浴、タバコ、などの制限を守るようにしましょう。