近年、様々な病態の腎臓疾患を分かりやすく、「尿蛋白陽性など腎疾患の存在を示す所見」もしくは「腎臓機能低下が3ヶ月以上続く状態」を認めるのを"慢性腎臓病"と定義し、慢性腎臓病対策を進める取り組みが全世界的に進んでいます。
わが国でも推定で約1,300万人以上の慢性腎臓病患者がいるといわれています。
また、慢性腎不全に至り透析を受ける総患者数は26万人に(国民約500人に1人)を超え、患者数は毎年1万人前後増え続けています。
さらに慢性腎臓病があると心血管疾患の発症率が高くなることも明らかにされ、"メタボリックシンドローム"と同様に注目されるようになりました。
慢性透析患者数・心血管疾患患者数減少のためには、慢性腎臓病を早期発見し現在の治療を十分活用することが重要と考えられます。
慢性腎臓病は様々な疾病が原因となりますが、実際の治療では患者さん一人ひとりの身体的・社会的な問題点を把握し、自分にあったきめ細やかな食事療法・薬物療法を根気よく続ける必要があります。
また、長期的には合併症や治療薬の副作用を来すこともあり、腎臓だけではなく全身に対応できるような診療体制が望まれます。
このような背景から検診から透析医療まで対応できるような医療連携システム作りが全国で始まっていますが、当院では既に集団検診から慢性腎臓病が進行した際必要となる透析医療まで提供できる体制を取っています。
特に当院の透析施設ではさまざまな身体的障害を持つ患者さんにも対応し、より質の高い透析治療を提供できるように配慮しています。
さらに脳神経外科だけでなく呼吸器科・消化器科・循環器科・泌尿器科など他科の医師も多く常勤し、自宅復帰のためのリハビリ・介護支援などのサービス体制を強化しています。
理事長 宮崎 雅也
桃野 梨恵