泌尿器科は、男女の排尿障害等の機能障害に対する内科的及び外科的治療、さらに尿路系悪性腫瘍の診断及び治療も行っています。
代表的な病気としては、腎臓・膀胱・前立腺などの悪性腫瘍(ガン)、前立腺肥大症や神経因性膀胱などの排尿に関するもの、腎臓や尿管の結石、膀胱炎や尿道炎などの炎症疾患などです。
以前は男性中心の科というとらわれかたをされていた泌尿器科も、最近の外来患者さんの約3分の1は女性患者さんとなっています。
また、高齢化がすすむ現代社会において泌尿器科の重要性は増し、注目されてきています。
年をとるとともにどうしても体の各臓器の機能は衰えてきます。
泌尿器科が扱う臓器(腎臓、膀胱、前立腺、尿道など)も例外ではなく同様に衰えたり、加齢による変化をきたしてきます。
これによって様々な症状が出てくる可能性があります。
尿の出が悪くなったり(排尿困難)、尿が近くなったり(頻尿)、尿の漏れ(尿失禁)の症状等に思い当たることがあれば、ぜひご相談下さい。
特に重要なのは前立腺癌です。
前立腺は男性にしかない臓器ですが、食生活の欧米化・高齢化に伴い、今後男性の中で最も増加が予想されている悪性腫瘍です。
早期の場合は特に症状がないことが多いので、前立腺癌の早期発見には血液検査(PSA測定)が非常に大切です。
当院ではエコー、CT、MRI、内視鏡等の診断に必要な各種機器を完備していますので、その他の泌尿器癌を含め、早期発見及び適切な治療方針を立てることを心がけたいと思っています。
前立腺は、膀胱のすぐ下にあり、尿道を取り囲むように存在する臓器で、男性だけに存在します(図1)。
50歳を過ぎると半数以上の男性でこの前立腺が大きくなってきます。
前立腺が大きくなってくると、尿道を圧迫することになり 狭くなった尿道(図2)のせいで尿の流れが悪くなって、次のような症状を起こしてきます。
これらが前立腺肥大症の症状です。
男性の約80%が80歳までに前立腺肥大症を発症すると言われており、高齢者の多くにその症状がみられます。
治療せずに放っておけば症状が増悪し、なかには“尿閉”と言って尿が出したくても出せないという状況になる場合もあります。
そのため、私たち泌尿器科では前立腺肥大症に対し、患者さんの症状に合わせて、薬の治療や手術による治療を行っています。
泌尿器科では、以前から前立腺肥大症に対して手術が必要な場合 標準的な治療として、経尿道的前立腺切除術(TUR-P)を行ってきました。
これは内視鏡(膀胱鏡)で見ながら、尿道を圧迫している前立腺を電気メスで切除して尿道を拡げ、尿の通りを良くする方法です。効果は良く、確立された方法ですが、欠点として、
今回、当院に導入したグリーンライトレーザー医療機(AMS社製)は、同じように内視鏡(膀胱鏡)を通して行いますが、電気メスの代わりにレーザーを用います。
レーザーにも種類がいろいろありますが、当院で使用するグリーンライトレーザーは特に出血しにくい性質を持っています。
このグリーンライトレーザーにて尿道を圧迫している前立腺組織を蒸散させ、尿道を拡げる手術(PVP手術)です。
特徴としては、
麻酔は手術を受ける患者さんの状態に合わせて、全身麻酔か腰椎麻酔で行います。
実際に この手術をされた ほとんどの患者様は、手術翌日にはカテーテルを抜き、排尿に問題なければ、手術翌々日に退院されています。
したがって入院期間は3~4日となります。
一般的に手術後は、手術前より尿勢が良くなり 前立腺肥大症に伴う症状が緩和されていきます。
手術前
手術直後
手術3か月後
この手術は、保険適応となっております。
現在までに、当院も含め国内他施設および海外でも数多くの症例が安全に治療されており、良好な成績も確かめられておりますので、より侵襲の少ない手術として受けていただけるものと考えます。
実際に、この手術の適応があるかどうかは、診察の結果でのご相談になりますので、尿に関する症状が気になる方、お悩みの方は、かかりつけの先生や、当院泌尿器科外来にご相談ください。
院長 与儀 安男